第2章 カラーコーディネーションの方法とそのプロセス


この章は、カラーコーディネーターが、実際にどのように仕事を行っているのかをまとめた章です。試験にも出やすく、重要な章ですので、整理して覚えましょう。特にカラー・プランニング・トライアングルは重要です。



第1節 環境色彩コーディネーションの基点

1.カラーコーディネーションとプランニング

・コーディネーション・・・・調整・調節(部分的)
・プランニング・・・・・・・・用意周到な計画能力(全体的)

コーディネーションが「現状的」なものであるのに対し、プランニングは将来に起こり得る変化を予測し、状況を操作できる能力が問われる。

共同作業の中での専門性をいかす。
建築、土木、都市工学等、異領域との連携。
問題や条件に対して、柔軟に対応できる展開力・客観的説得力が必要。
なぜこの色を使うのか?という問いに対して、きちんと相手を納得させることができなければならない。
単なる調整役だからと逃げずに、積極的に「色彩計画」という立場に立って、環境や景観の本質に踏み込む。


2.環境計画の総合的視点

環境とは、モノ・生物個体という存在を取り巻き、何らかの意味を持ち、相互作用をし合う、外界全ての状況のこと。

状況とは、時間経過のうちに変化していく場や地域、空間の様子を意味し、総合性の上に決定されるもの。

☆カラーコーディネーターは、環境や将来変化することを予測した、マクロ的な見解をもって行うことが重要。

環境・・・環と境の合成されたもの。連続的・総合的である

環境計画・・・条件、スケール、形態等を背景に、モノや生活像や空間を組み込む作業。
☆総合的な視点の上に、様々な関係性をデゼインしていく

関係性のデザイン・・・人工物を自然環境の中に組み込んでいく作業。
内部(インテリア)・外部(エクステリア)という空間意識を枠組みし、パブリック(公)とプライベート(私)という概念を生成する。

時間軸の付与・・・将来の変化要因を条件として考慮する、先見性や仮説の上に成立する

3.環境デザインの視点

景観形成の6つの視点

@地域性・・・地域の風土、歴史、個性を生かす視点

A公共性・・・景観は共有の財産である、との視点

B全体性・・・総合性ともいう。対象群を全体として捉える視点。集合体としての総合的調和及び施設群と周辺環境との調和への着目

C生活性・・・日常生活に息づく景観

D多様性・・・美しさに対する評価(一義的には決められない)

E参加性・・・空間的・社会的・時間的条件。この3つを満足し、人間性や地域コミュニティ創出に向けた総合的な立場からくみ上げる。




第2節 環境色彩計画の方法


重要項目です。カラー・プランニング・トライアングルの3つの条件をきちんと理解しましょう。



1.環境色彩計画の概念

モノと人、人と場、モノとモノ、モノと場等の様々な関係性と色彩の持つ効果や役割との相関性を、計画目的や条件に沿って、総合的に構想し、より良好な色彩の見せ方を提案する。

条件に従って、より効果的な色彩の見せ方がデザインされなければならない。


色彩の役割

@機能色としてのサイン的役割
A情緒色としてのシンボル的役割

この2つの役割のバランスと的確な使用が色彩計画のポイントである。


カラー・プランニング・トライアングル(教科書P45の図は重要)

環境的・景観的な総合性を念頭に置いて、計画を進める。必須の計画概念。

カラー・プランニング・トライアングルにおいて、常に人・施設・環境の条件を同等に設定するのではなく、3つの条件を自由に適用操作する柔軟な計画手法が求められる。

実際に環境色彩の仕事は、この3つの条件は常についてまわります。

・カラー・セグメンテーション(人・生活・社会と色の関わり)

・カラー・コンストラクション(モノ・形態・空間・機能と色の関わり)

・カラー・シチュエーション(環境・景観・地域・時間と色の関わり




2.カラー・セグメンテーション(人・生活・社会と色の関わり)

色彩の受け手である、人間・あるいは集団の生活実態に関わる色彩計画の条件

・人間性重視の立場を取る(ヒューマン・ファクター)。色彩は人間に心理的・生理的な作用を及ぼす。人間の色彩知覚の特性に配慮し、色彩計画に生かすことが大切。

・色彩は大きな面積になるほど、明るく鮮やかに感じられるので、視覚効果を意識した配慮が必要。

・人間の持っている共通感情を、SD法などを用いてカラーイメージマトリクスを作成する。計画段階において、色彩とイメージの相関性を鑑みて、候補色選定の手ががりとして用いる。

・色彩の演出方法は、見られ強度の高い景観(名勝景)と、見られ頻度の高い景観(生活景)では異なってくる。
それぞれの情勢を、人が何を求めているのか、把握することが必要。

色彩計画者は、生活主体(ノーマライゼーション)である人間を意識し、公共的立場に立つ受け手発想の考えを基本とする。




3.カラー・コンストラクション(モノ・形態・空間・機能と色の関わり)

色彩は対象の形や空間への移し込みによって実現化する。
対象が持つ形態特性や空間特性、機能や構造等を分析し、色彩効果との関係性を描く作業のこと。

・施設機能と形態機能

施設機能・・・人間の実際行動に関わるもの。住む、寛ぐ、作業する等。

形態機能・・・構造や空間構成に関わるファクター。扉、柱、壁等物理的なカタチを持って機能する。

・大きさ・規模(スケール)
環境色彩は、面積や規模が大きいので、面積効果を想定しながらデザインする必要がある。

・主従関係(ヒエラルキー)
複合施設など、複雑な構造物の場合、無秩序で統一感のない仕上がりになる恐れがある。これを避けるために、施設が持つ役割を整理し、秩序と統一感を感じられるように、主と従の関係を明確化する必要がある。

・影響度
環境色彩は、空間を彩るので、色が人や環境に与える影響度を考慮しなくてはならない。

・布置関係
施設の配置や組成のこと。複合施設の場合、連続させるのか、区切るのかで、色の配色が変わってくる。必然的にブロックやゾーニングといった考え方を生み出す。

・エージング
時間経過による素材の変化のこと。環境色彩は、対象が長い時間軸に関係するので、エージング効果を考慮しなければならない。

・まとまり感(オーダー)
色彩を効果的に生かすために、その対象と環境の、まとまり方の特徴を把握する。



4.カラー・シチュエーション(環境・景観等と色の関わり)

対象物を囲む背景の色彩に関わる全ての条件のこと。
色彩計画の背景は地域特性や景観特性を深く考慮した上で設定される。
環境色彩は背景の景色との調和が必要になるので、背景との関係性が重要。


・地域特性
地域特性とは「地域らしさ」であり、その地域特有の文化、風土や歴史といったものから形成される。
色彩そのものではないが、街づくりの観点においては重要な要素である。
地域アメニティ(快適さ)に向けた魅力と活力の創出を共通のテーマとしている。


・景観特性
背景となる景観に、主対象となる施設が如何に組み込まれ、人から(視点場)どのように眺望されるのかを考える。

また、対象物と背景は互いに囲み囲まれる関係であるので、反転作用が起こるケースもある。



第3節 プランニング・プロセス


教科書P57の図2−39は、第3節以降を体系的に表したものです。過去、この図がそのまま出題されたこともあります。カラー・コーディネーターとしての仕事を、具体的に表している、非常に重要な部分です。表と文章をよく照らし合わせて勉強して下さい。
また、ここで使われている専門用語は、穴埋め問題などによく出題されています。

・プランニング
ある目的や要求の実現に向けて、あらかじめその方法やプロセスを考えること
事前の総合的な計画が重要。「企画」「計画」「設計」の3段階に区分されている。

1.企画(Thinking Phase)
計画目的の確認
第2節で述べた、カラープランニングトライアングルをベースとする。

2.計画(Planning Phase)
色彩の計画=カラーコンセプトメイキング
企画に沿って、調査・分析・総合評価していく。

3.設計(Design Phase)
計画によって示された指針に沿って、人−施設−環境の総合性に照らしつつ、施設の形態特性を生かした色彩の提案を行う。
オーバーレイ方法やスケッチ、C.Gシミュレーションを用いて具現化していく。



第4節 計画 コンセプトメイキング(Planning Phase)

1.調査
@環境調査 カラー・シチュエーションの視点から行う調査。地域らしさを把握し、背景色を確認する。

A施設調査 カラー・コンストラクションの視点から行う調査。施設の特徴や色との関わりを認識する。

B施設シーンのイメージ調査 カラー・セグメンテーションの視点から行う調査。対象の施設に関わる人間の色彩感覚の特性やイメージとの関わりを知るために行う。(人間調査) 
聞き取り調査やSD法の利用が有効。


2.分析・展開

調査したデータから目指すべき結果を得るための論理構築作業。
テーマを解釈し、様々な観点から要因を分解し、更に新しい考え方を広げていく演繹的認識作業。
未来を予測する想像力、柔軟でユニークな発想力が求められる。

@カラー・セグメンテーションの分析
色彩対象の施設に関わる人の色彩感覚の特性などを知るために行った調査結果に対し、以下の分析を行う。

・イメージのドライヴ
施設の利用者等が抱く、施設や環境のイメージを、一定の方向へ向かうよう操作すること。

・イメージの素材展開
イメージに合うよう、素材の色を選定し(ベーシック・カラーの決定)、これを基調として、差別化を考慮したアクセントカラーを選定していく。

・イメージの重層化
複合施設の場合、それぞれのエリアごとのイメージを持たせながら、更に整理・類型化し、関連付けながら、施設全体のまとまり感を持たせる。

Aカラー・コンストラクションの分析
色彩対象の施設が持つ、機能性や形態性の調査結果に対して、以下の分析を行う。


・コンテクスト(Context=文脈の意) 施設全体の文脈を把握する。

・ゾーニング
施設を機能によって区分し、色彩によって効果が上がるようにする。また個々の施設区分を全体的につながりを持たせるように構築する。

・シーンとシークエンス
それぞれの「場面」(シーン)と全体的な流れ(シークエンス)を考え、メリハリ感を持たせるようにする。

・中心色、基準色
環境色彩の場合、基本的には、低彩度の色彩が多用されている。
草木の緑も、色相5GYの明度5〜6、彩度6ぐらいの中〜低彩度の為。周囲の環境とあわせることが大切。

・慣用色
無難で無個性な印象を与えるが、不自然に感じず、飽きの来ない色彩である。


Bカラー・シチュエーションの分析
地域らしさや景観の調査結果に対して、以下の分析を行う。

・風土色を描く
変化する色=風(時代性) 変わらない色=土(環境特性・地域らしさ)

・記憶地図の作成
対象となる施設のある風土に関係する特性が感じられるよう、環境の個々の要素をなぞらえながら、全体像を描く。

・ポジショニング
対象施設を地域らしさや景観の調査結果に基づいて、全体環境の中に位置づける。
現場踏査が大事。


3.総合・評価

調査によって得たものを、分析・展開プロセスにかけ、その検討要因を整理し、計画方針に判断を下す認識作業。

コンセプト・ポリシー=環境色彩計画の明確な指標。


@条件・目的にかなう
カラープランニング・トライアングル上で計画された人・施設・環境のうち、どれに重心を置くのかは一定ではない。
施設の条件・目的によって変化する。

A色彩のあり方を的確に示す
コンセプト・ポリシーに対応する色彩の方向性を明確に打ち出す。



第5節 設計(Design Phase)

設計・・・環境色彩設計は、論理性に裏打ちされた色彩のあり方に、色彩そのものを用いて見せ方を具現化すること。

1.デザイン展開

@カラー・フレーミング(色彩の枠組み)
コンセプト・ポリシーで示された条件の実質的な色彩の枠組み

Aカラー・オーヴァー・レイ(アイディア展開)
候補色を形態や空間に被せて、その見え方や効果を創造する作業。
様々な色の見え方をイマジネーション豊かに描く。

Bカラー・コンプレッション(色彩の圧縮化・醸成)
総合的な条件を色彩に凝縮し、その使用方法もあでも決定する作業。
色彩設計プロセスにおいて、もっとも力をいれるところ。

・秩序と変化のニュアンス
秩序形成を目指すベース・カラーと、変化付けのためのアクセント・カラーとを比較し、色相・明度・彩度を微妙に調整する。

・メリハリ感の演出
コンテクト・ゾーニング・シークエンスの概念を用いて、シーンの演出を効果的にできるようにする。

・点−線−面で想像する
「秩序と変化」「静と動」「強と弱」「主と従」等、景観は見る人の視点の移動に伴って、連続的に見られることを念頭に置く。
色彩を全体的なつながりの中で考えることが原則。

・カラー・シミュレーション
カラー・コンプレッションによって密度が高められた色彩を、より現実に近い状況に再現して検証する。

@フォトモンタージュ法
AC.G
Bモデル(3D立体モデル)


2.カラー・マネージメント(管理)
決定した色彩計画が、現場で実際に施工されるとき、計画通りに適切に実現できるか管理する。

@カラー・スキーム(色彩設計案)
色彩をシステマチックに組織化されたもの。
その目的・機能によって色彩がグルーピングされている →多数ある色彩を混乱なく生かせる。

Aカラー・メンテナンス(普遍性の維持)
カラー・スキームや素材サンプル、塗料見本の現物をストックしておく。
施工した色彩の維持が目的



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